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自動実験ロボットの液体操作速度が酵母細胞に及ぼす影響を評価

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(Image by Elpisterra/Shutterstock)
 生命科学分野ではロボットを用いた実験の自動化が進んでいます。本研究では、ロボットが液体を扱う際の流速が酵母細胞の生育と遺伝子発現に及ぼす影響を調べ、液体操作速度の違いは細胞に有意な影響を与えないことを見いだしました。このことは、より効率的な実験の自動化につながると期待されます。

 細胞を扱う生命科学研究において、ロボットによる実験の自動化が進んでいます。しかしながら、例えば、液体を吸ったり吐いたりする際の流速(ピペッティング速度)など、ロボットの実験操作パラメーターの設定が、細胞に対してどのような影響を与えるかはよく分かっていませんでした。そこで本研究では、自動分注ロボットを用いて、酵母の生育と遺伝子発現にピペッティング速度が及ぼす影響を、体系的に調べました。

 自動分注機によるピペッティング操作による細胞への影響を、増殖アッセイとRNAシーケンシングという二つの手法で詳細に計測しました。その結果、事前の予想に反し、調べた範囲では、ピペッティング速度の違いが酵母の増殖にも遺伝子発現にも有意な影響を与えないという結果が得られました。

 本研究結果は、ロボットを用いた実験におけるピペッティング速度について、経験則や推測に頼ることなく、最も速い速度を設定できることを示しており、実験をより効率的かつ高い再現性で実施するための重要な指針となります。

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プレスリリース

研究代表者

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尾崎 遼 准教授(兼:理化学研究所 生命機能科学研究センター チームディレクター)
田口 将大 ヒューマニクス学位プログラム(一貫制博士課程)5年次
松澤 亮輔 医学学位プログラム(一貫制博士課程)2年次

掲載論文

【題名】
Investigating the effects of liquid handling robot pipetting speed on yeast growth and gene expression using growth assays and RNA-seq
(増殖アッセイとRNAシーケンシングを用いた、自動分注ロボットのピペッティング速度が酵母の生育と遺伝子発現に与える影響の調査)
【掲載誌】
microPublication Biology
【DOI】
10.17912/micropub.biology.001566

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