テクノロジー?材料

加圧により水を取り出せる材料を開発

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(原著論文(DOI: 10.1039/D4TA08305A)より引用)
 結晶中に空隙を持つ化合物である銅—クロム?プルシアンブルー類似体に圧力を加えることで、内部に保持されていた水分を排出させる現象を見いだしました。本材料は、乾燥地域などでも温度や湿度の制御を必要とせず、加圧のみで水を得ることのできる、新たなオンサイト水生産技術として期待されます。

 銅—クロム?プルシアンブルー類似体は、結晶中に空隙(細孔)を持つ化合物です。これに圧力を加えることで、内部に保持されていた水分を排出させる現象を見いだしました。これまでに報告されているオンサイト水生産技術は温度差や湿度差を利用するため、自然環境に依存しやすい上に、長時間の環境変化を待つ必要がありましたが、本材料は温度や湿度の制御を必要とせず、単純な加圧操作のみで水を取り出すことが可能であることを示しました。

 本研究では、この銅—クロム?プルシアンブルー類似体に1ギガパスカルの圧力を加えると、結晶内部の細孔に保持されていた水分が外部に排出され、肉眼で確認できる水滴が発生しました。また、1kgあたり約240gの水が得られることが分かりました。圧力前後の赤外分光測定やX線吸収、蛍光分光測定の結果から、圧力によって結晶中の空隙に存在する水分子と銅の電子状態が変化し、もともと親水性だった細孔が疎水化することで、水分が排出される仕組みを明らかにしました。

 この成果は、乾燥地域など過酷な環境下における新たなオンサイト(現地)水生産技術の実現に資するものであり、水資源再利用技術の開発にも新たな視点を提供すると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

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所 裕子 教授

東京大学大学院理学系研究科
大越 慎一 教授

掲載論文

【題名】
Pressure-induced water producing using a copper-chromium Prussian blue analog
(銅—クロム?プルシアンブルー類似体を用いた圧力誘起水生成)
【掲載誌】
Journal of Materials Chemistry A
【DOI】
10.1039/D4TA08305A

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